自動車コラム

運転免許証 返納する? 運転を続ける?

高齢運転者数が増えたことで、高齢ドライバーによる事故も年々増加しています。高齢ドライバーの事故のニュースを見ると、運転免許証を持っている人は「自分はいつまで運転できるのか」と考えることも多くなったのではないでしょうか。そこで今回は運転免許証の自主返納などについて。

自主返納はいつからはじまった?

平成10年(1998年)に道路交通法の改正により運転免許証の自主返納制度がはじまりました。高齢運転者数が増え、高齢ドライバーによる交通事故が年々増加していますが、高齢ドライバーによる事故の場合、多くは認知機能の低下による事故ということで、高齢者の事故増加の対策の一環としてはじまりました。

自主返納したら

運転免許証は身分証明書として広く利用されているため、運転免許証を身分証明書として使用している人も多く、身分証明書として使っている運転免許証が無くなると不便だと感じていた人も少なくないようで、もっと自主返納制度を促進しようと平成14年(2002年)6月1日より運転経歴証明書の発行がはじまりました。

運転免許証の取消しは全部、または一部取消しを申請することができます。

運転経歴証明書

運転免許証を自主返納すると返納手続き5年以内なら「運転経歴証明書」の申請をすることができます。運転免許証と同じサイズのカードで、申請者の住所、氏名、生年月日などが記載されています。運転免許証と同じように身分証明書として使用することができます。運転免許証とは違い、有効期限はなく生涯身分証明書として使用することができます。また、紛失してしまった場合は再交付も可能です。
住所や氏名が変わったときは届出が義務付けられています。

どこで申請するの?

運転経歴証明書は運転免許証を自主返納した都道府県を管轄する以下の場所で申請・交付してもらうことができます。

・運転免許試験場
・運転免許更新センター
・警察署

申請に必要なもの

・運転免許証
・本籍が記載されている住民票(6ヶ月以内に発行されたもの)※コピー不可
・印鑑(認印でも可)
・写真1枚(6ヶ月以内に撮影されたもの)申請する場所によっては写真が必要ない場合もあります
・手数料1,000円 各都道府県によって異なりますが、だいたい1,000円くらいです。

申請できる場合

・運転免許証の全部取消し(自主返納)を申請し、同時に運転経歴証明書の交付を申請する
・すでに全部取消し(自主返納)している方(5年間経過していない方)

改正前の旧運転経歴証明書について、次の場合は再交付を受けることができます。

・全部取消し(自主返納)から5年経過していない
 → 旧運転経歴証明書を現在所持している
 → なくしたり破損している

・全部取消し(自主返納)から5年経過している
 → 現在も記載内容が判読できる旧運転経歴証明書を所持している

 

申請できない場合

・運転免許証の有効期限が切れている
全部取消し(自主返納)の申請ができないので運転経歴証明書の申請もできません。

・全部取消し(自主返納)から5年経過し、旧運転経歴証明書をなくしたり破損している場合は再交付の申請ができません。
・運転免許証を取得したことがない人には発行されません。

自主返納は何歳から?

自主返納をすると地域や協賛店によって、さまざまな特典があります。特典が受けられるのは運転免許証を自主返納した65歳以上の高齢者が対象。
市町村による支援は自治体などによっては70歳以上や75歳以上の地域もあります。

高齢者の交通事故は増えている

交通事故の死者は減り続けていますが、高齢者の比率は高くなっています。高齢化社会、超高齢化社会といわれている日本で、高齢者が多くなれば高齢者の交通事故が増えるのは当然かもしれません。ですが、日本全体の交通事故の死者数は減り続けていて、高齢者の交通事故死者数も減っているのですが、他の年代よりも減り方が緩やかなので、高齢者が占める割合が高くなっています。

運転免許証の自主返納も増えてきた

高齢者による交通事故が連日ニュースで報道されるようになり、高齢者の高速道路逆走事故も増えています。今では70歳以上になると「高齢者講習」、75歳以上になると「高齢者講習」に加えて「講習予備検査(認知機能検査)」を受けなければ、運転免許証の更新ができなくなりました。もしかしたら、今後さらに厳しくなるかもしれません。でも、加齢により視野は狭くなり、判断力は確実に低下していきます。もしかしたら自分の運転で死んでしまうかもしれないし、誰かを巻き込んで命を奪ってしまうかもしれない、そうならないようにある程度の年齢になったら「そろそろ運転をやめようか」と考えてみることも大切です。

あるレポートの年齢別運転免許保有者減少率を見てみると、75歳のときに運転免許の更新を迎える人が増加し、75歳以降は、75歳、78歳、81歳、84歳と3年ごとに更新者が多くなるため、保有者減少率のピークがあるというデータがあります。

自分の年齢や判断力などを考えて「今回の更新が最後」「更新の時期だけど更新しない」など、今まではそう考えても更新せず、何もせずに運転免許証の期限が切れて運転しなくなったという人もいると思います。今でもそうやって運転から引退することもできます。ですが、今から運転の引退を考えている人は、是非「更新せずにそのまま引退」ではなく「運転免許証を返納して引退」することをオススメします。

高齢者による交通事故を減らすために「自主返納」の制度がはじまりました。1998(平成10年)にはじまった制度ですが、身分証明として使用できる運転免許証がなくなることで思うように自主返納する人が少なかったこともあり、平成14年(2002年)6月1日から運転経歴証明書の発行がはじまりました。当時の運転経歴証明書は発行から6ヶ月間しか身分証明書として使用できず、住所変更などもできず、紛失したときなどは再交付することができませんでした。

平成24年(2012年)4月1日からは政令が改正され、有効期限がなくなり、身分証明書として生涯使用することができるようになり、紛失したときなどは再交付を受けられるようになりました。ただし、住所などの記載事項に変更があったときは、届出を行うことが義務付けられています。

こうした改正や運転経歴証明書を持っている人向けに各都道府県がさまざまな特典を用意することで運転免許証の自主返納率は平成18年(2006年)から平成27年(2015年)の10年間で約10倍以上に増えています。

返納率が高いのは

大阪府は平成26年(2015年)と平成27年(2016年)の2年連続で「65歳以上の免許自主返納率」日本一に輝きました。その他のランキングを見てみると都会が多い印象です。

平成27年 65歳以上の免許自主返納率

1位 大阪 3.21%
2位 東京 3.06%
3位 兵庫 1.94%
4位 埼玉 1.92%
5位 静岡 1.84%

大阪、東京は電車やバスを利用できるので、車を持っていなくても、それほど困ることが無いのかもしれません。3位の兵庫県とは返納率に差がありますね。返納率が高い大阪では、返納サポート制度が始まってから、大阪らしいPRの効果もあって返納率がアップしています。「協力店表示マーク」があるお店などで運転経歴証明書を見せるとさまざまな特典を受けることができるのですが、大阪の協力店表示マークは吉本新喜劇の人気キャラクター「茂造じいさん(辻本茂雄さん)」が目印です。このマークは「わかりやすい」と好評のようです。協力店表示マークには「茂造からのお知らせ 運転免許証を自主返納された元高齢ドライバーの皆さんを応援します!! 特典あるで~」と書かれています。大阪ではたくさんの商店街や企業が協力して、返納したら得られるお得な特典やユニークなPRすることで返納率アップを目指しています。

大阪府 サポート企業・特典内容(一部)

・千日前道具屋筋商店街
 3,000円以上購入するとフライパンを進呈

・メガネは長江吹田補聴器センター
 補聴器購入時に電池1枚進呈、他店で購入した補聴器の乾燥、清掃無料。
 補聴器用電池、店頭価格から50%割引 本人に限る

・犬鳴山温泉 不動口館
 日帰り入泉料金を600円に割引 本人・家族が対象

割引やタオル進呈、少しユニークな特典も。本人と家族、本人と同伴者など本人以外でも特典を受けられるものもあります。

他の都道府県の目印は

大阪のおとなり、同じ関西の京都の協賛店の目印は京都府のPRキャラクター「まゆまろ」が、群馬県ではマスコットキャラクターの「ぐんまちゃん」が目印になっています。それぞれの都道府県を代表するキャラクターを目印にPRするところもあり、運転免許証の自主返納制度をアピールしています。

地域で差がある

自主返納が進んでいる地域もあれば、あまり進んでいない地域も。自主返納しない理由としては車がないと不便になるという理由が多いようです。買い物や通院など特にバスや電車が少ない地域では車はなくてはならない移動手段のようです。ある調査では自主返納した人は返納前の1ヶ月間、半分以上の人が運転していないのに対して、返納せずに運転を継続している人は、ほぼ毎日運転しているか週に3~4日運転している人がほとんど。ほぼ毎日のように運転している人が運転免許証を返納して運転できなくなったら、行動できる範囲が狭くなり、日常生活がかなり不便になってしまいますよね。運転が「生きがいや楽しみ」だと答えた人は約2割でしたが、約7割の人は「交通手段」と答えています。

運転に自信がなくなったから、事故をしてしまったから運転免許を返納しようと自主返納が薦められていますが、バスや電車がない、行きたいところまで連れて行ってくれる家族がいない人は、免許証を更新できる限りは運転を続けたい(続けなければならない)と思っている人も多いのではないでしょうか。無料で送迎してもらえる病院もありますが、田舎で買い物となれば、なかなかそうはいきません。ショッピングモールのようなバスのないところに買い物に行きたいときは、やはり誰かに乗せてもらうしかありません。家族以外の知り合いやお友達がいる人はたまに車に乗せてもらって買い物に行くか、タクシーを呼んで買い物に行くか。タクシーも距離が遠ければ高くつきます。頻繁に利用するのは難しい。そうなると、行きたいところになかなか行けない、買い物に行けない、買い物難民になってしまいます。

返納する前に

中には高齢者ではないけれど、運転免許証を返納しようと考えている方もいると思います。そして、年齢を考えるとそろそろ運転から引退しようと考えている方も。

運転免許証を返納する前に、もう一度よく考えてみて下さい。

本当に「今」返納しても良いですか?

返納してから生活にとても困ってしまうなら、年齢や状況によると思いますが、あと1回更新してみるなど運転を続ける選択をしても良いと思うのです。運転に自信がなくなったなら返納するのも良いと思います。でも、車がないとお仕事ができない、生活ができない方もいらっしゃいます。講習を受けて更新できるうちは運転を続ける選択をしても良いのではないかと思います。便利になったとはいえ、車が生活に欠かせない人がいるのも事実です。一度返納してしまうと取消しはできません。また運転したければ、いちから運転免許を取得しなければいけません。ですから、返納する前に、返納した後のこと、例えばどうやって買い物に行くかなどを良く考えてから、後悔のないように返納してくださいね。

ですが、もし家族や周りの人から、あなたの運転を見て「そろそろやめた方がいい」と止められたなら返納を考える時期なのかもしれません。自分の運転がどうなのかは案外自分では分からないものです。運転に自信があっても自分と周りの感じ方は違ったりします。長年運転してきたなら、なおさら自分の運転はまだまだ大丈夫と思ってしまいます。でも実際は、左右を確認せずに進んでしまうなど、一緒に乗っている人からみるとヒヤッとすることが多くなっているかもしれません。

運転を続ける

講習を受けて運転免許証を更新することができれば、まだ車を運転することができますが、判断力などは年々低下してしまいます。運転を続ける選択をするのなら、自分がちゃんと運転できているのかを知ることも大切です。気づかないうちに一時停止を忘れてしまったり、標識を見落としてしまっているかもしれません。標識を見落としたまま運転してしまっていたら・・・それがいつも良く通る道だったら・・・同じように毎回見落としてしまったまま運転してしまっているかもしれません。

続けるならチェックも必要

運転を続けるなら、定期的に家族などに一緒に乗ってもらい、左右確認や一時停止などちゃんと運転できているかチェックしてもらうのもひとつの方法です。免許証の更新は数年に1回ですし、更新できても次の更新まで長い間、期間が空いてしまいます。その間に判断力などが低下してしまっていることに気がつかないまま運転してしまうかもしれません。周りの人がチェックすることで、自分がちゃんと運転できているか客観的に知ることができます。

運転チェックシートを印刷して自分でチェックしたり、同乗者の人がチェックできるタイプの物もありますので、客観的にチェックしてもらってチェックシートを見て、今後より自分の弱い部分に気をつけながら運転するのも良いですね。

自覚できる講習も

ある教習所では高齢者の事故を減らすため、ちょっと変わった講習を行っているところもあります。3つのセンサーによって運転の特徴が見えるというもので、車のセンサーは車の位置や速度を、足のセンサーはアクセルやブレーキ操作、帽子のセンサーは左右確認を感知しています。

センサーを使った講習を受けた高齢の男性は、講習前のインタビューでは運転に自信があるようでした。ですが、実際は交差点で右側を良く確認しないまま発進してしまい、教官が「ちょっと待ってください」と何度も停止するように促していました。測定結果のグラフを見てみると左は確認しているものの、右側はほとんど確認できていませんでした。具体的なデータを見て自分の弱点を知ることができたことで、男性は意識的に交差点での左右確認に気をつけるようになったそうです。自分の弱点が分かれば、そこを意識して運転することでより安全に運転できるようになります。

運転を続けるならやはりチェックして自分の運転を知ることが大切ですね。

さいごに

年齢とともに判断力が低下してくるのは仕方がないことです。ですが、運転をするには「認知・判断・操作」がとても重要です。これは運転免許証を取得するときにもお話があったと思います。この3つをすばやく判断して行動しなければならない、そんなことができるのかと免許を取る前は思っていても、慣れればできるようになるものです。

運転歴が長くなれば、運転が上手くなったりしますし、こんなに運転できる、運転歴が長いから自分は大丈夫だと思う気持ちがあるのはわかりますが、昔は当たり前のようにできていた(していた)ことがだんだんできなくなってきて、例えば左右を確認せずに発進してヒヤッとしたり、場合によっては事故をしてしまったりしたら・・・。生涯運転するのは健康であっても難しいことなのかもしれません。

運転したい人、車が必要な人には、自分の弱点を自覚して気をつけながら運転を続けられる、そして車の自動ブレーキなどの運転支援システムの普及によって安心して運転が続けられる環境づくりを。運転免許証の返納をした人には、バスや電車などで車がなくても生活に困らない環境づくりを進めていくことが大切ですね。

今は運転経歴証明書は自主返納しなければ申請することはできませんが、将来的には運転免許証の更新に行ったけど、検査などをした結果、免許証を更新できなかった人でも申請できるようになると良いですね。自主返納とはなりませんが、返納した人も更新できなかった人も運転免許証を持っていたけど、運転ができなくなるのは同じなので、どちらの場合でも運転経歴書の申請ができるようになればいいなと思います。

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